セキュリティ・
通信
GhostDrift数理研究所(GMI)は、当研究所が提唱する「有限閉包(Finite Closure)」理論を社会実装する中核技術として、「通信一体型ゼロトラストセキュリティ装置、方法及びプログラム」に関する特許を出願しています 。
この発明は、従来のセキュリティ技術が抱えていた「通信プロトコル層」と「セキュリティ運用」の分離という構造的課題を解決するものです 。通信動作そのものにセキュリティ核を一体化させ、厳格な時間窓制約と意味整合性を強制する、極めて高信頼なゼロトラスト・アーキテクチャを提供するものです。
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発明の概要 (What)
本発明は、通信プロトコル(TCP/IP, 5G等)とセキュリティの核(ゼロトラスト)を一体化させた「通信一体型ゼロトラストセキュリティ装置」に関する発明です 。セキュリティルールを通信の「アドオン」として付加するのではなく、通信動作の一次制御量として組み込み、時間・順序・鍵運用・監査・意味整合性を単一の設計座標で制御します 。
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発明により実現されること (Effect)
本技術は、セキュリティ運用と通信プロトコルの乖離が引き起こす「攻撃面の拡大」や「復旧の遅延」といった主要課題を解決します。
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厳格な「時間窓」の強制: 通信は、厳格な往復遅延時間の上限(RTT ≦ T_max)と時刻同期許容幅(±Delta_sync)の制約下でのみ有効とされます 。攻撃や遅延によってこの時間窓から逸脱したメッセージは即時拒否され、攻撃面を時間的に上限化します 。
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侵害時の「即時ゼロ化」と自動復旧: 侵害の兆候(再生攻撃、時間窓違反、ポリシー違反等)を検知した場合、関連する鍵素材やセッション情報を**「不可逆的にゼロ化(消去)」**します 。その後、装置固有の物理ID(PUF)に基づき、即座に安全な経路を自動で再確立(再加入)します 。
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「意味(ポリシー)」の整合性監視 (SemOps): 通信の「目的(Purpose)」や「データ区分(Data Class)」といった「意味タグ」を監視します 。ポリシー矛盾や運用上の「異論」(人間の承認却下など)を検知すると、通信フローを自動的に一時停止(セーフホールド)または遮断し、意味的な安全性を確保します 。
 
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実現の背景となる理論 (Why)
この高信頼な動作は、GMIが提唱する「有限閉包」および「素数重力」の数理モデルを応用することで実現しました。
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「有限閉包」理論による動作の健全性保証: 「有限閉包」理論の核心は、所定の有限な枠内で理論の健全性(=壊れないこと)を保証する点にあります。本特許は、この原理を「適応型UWP(adaptive finite closure)」として通信に応用します 。ネットワーク品質(遅延・ジッタ)に基づき「安全余裕(delta_hat_pos(t))」をリアルタイムで算出し 、この余裕が閾値を下回ると「フェイルクローズ(fail-close)」(=通信遮断・ゼロ化)へ即時遷移します 。これにより、システムが不安定な(無限・無制約な)状態で動作することを防ぎ、数理的安定性を保証します。
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「素数重力」の数理モデルに基づく「意味」の検知: 「素数重力」理論は、「源(Source)」が「場(Field)」を生成する数理構造を探求するものです。前回のセンサー特許では、この発想を「GD-Attention」に応用し、物理的な「場(センサー信号)」から「源(同期イベント)」を検出しました。本特許では、この発想を意味論に応用した「SemOps(意味エネルギー E_sem(t))」*を導入します。これは、通信ポリシーや人間の承認状態という「意味の場」を監視し、矛盾や異論という「意味的な源(外乱)」 を検知するものです。
 
「有限閉包」が「通信の時間的・機械的安全性(T_max, delta_hat_pos)」を保証し 、「SemOps」(素数重力の哲学的応用)が「通信の意味的・論理的安全性(E_sem)」を保証します。この二つのエネルギー(機械的エネルギーと意味的エネルギー)を統合制御すること で、真のゼロトラストが実現されます。
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産業上の利用可能性 (Impact)
本技術は、通信の「速度」と「安全性」が不可分であるあらゆる重要産業の基盤技術として貢献し得ます。
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エンタープライズ・IT分野: ゼロトラスト運用を通信プロトコル層で強制します 。再生攻撃の拒否、時間窓の厳格化、インシデント時の即時復旧により、SLAの遵守と監査容易性を向上させます 。
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産業用制御システム(OT/FA): 工場の制御周期に合わせた厳格な時間窓(T_max)管理と、ネットワーク異常時の「フェイルクローズ」動作により、サイバー攻撃に対する高い復元性(レジリエンス)を実現します 。
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電力・エネルギー分野: マイクログリッド等の負荷変動による通信品質低下を「適応型UWP」が検知し、安全に通信許容窓を調整、または自動復旧させることで、系統安定とサイバー復元性を両立します 。
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自動車・医療機器(サイバーフィジカル): 装置の物理的実体(PUF)と通信権限を不可分に結合します 。遠隔保守やソフトウェア更新といった一時的な特権も、厳格な時間管理と意味タグ(Purpose)によって安全に運用できます 。